じんじろうの書きつけ

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【こんな面接官はいやだ】実際にあった驚きのダメ面接官2例

 新しい仕事をさがすとき、面接は避けて通ることができない。

よほど縁故とか、スタートアップとか、超フランクな社風などでない限り、採用では面接が行われる。

 

 会議室や、いまならオンラインの画面ごしに面接官と相対して、繰り出される質問に真剣に応えていく。緊張を強いられる特殊な場面だ。なるべく面接官に良く思われたいとふるまうのは人情だし、面接官だって「誠実に向き合って、きちんと見極めよう」と多くの場合は考えているだろう。

 

 しかし、世の中は広い。面接官もいろいろで、すべての人が高い職業意識とスキルを持って面接官になっているわけではない。実際にあった、ダメ面接官の例を見てみよう。

 

■めちゃめちゃ疲れている

 これは新卒採用、中途採用双方でのあるあるだ。受験するこちらは面接前にギリギリまでイメージトレーニングをし、トイレに行って身なりを確認、緊張を高めて案内された部屋で面接官を待つ。

 

 そこに現れたのは、まるで野球選手が目の下に書いてまぶしさを軽減するアレのように、深くクマが刻まれた現場マネージャー(面接官)。

 

 生気はなく、明らかに直前まで他のMTGでバタついていたオーラをまとっている。よく見ればシャツもくたびれていて、持ち込んだ水のペットボトルはほぼ空だ。水を補充する暇もなかったのだろう。

 

 彼は「じんじろうさんですね、今資料を出しますね・・」とパソコンをたたき始めた。僕が提出した資料を呼び出しているらしい。

 

(もしかして初見なのか・・?)という不安が顔に出ないようにしつつ、「お忙しそうですね、そんな中ありがとうございます」と言ってみる。

 

 「いえいえ、そんなことないですよ・・・」言いながら目はパソコンから離れない。

 

(ん?資料呼び出すには長くないか?)

 

 そう思い彼の座った背後のガラスに、パソコンの画面が反射していることに気づいた。

 

 見てみると、チャットを矢継ぎ早にふたつ返しているではないか。

 

 きっといま抜けてきたMTGの後処理なのだろう。僕は心でこう思う。

 

(面接に余裕を持って望めないほど忙しいことはあるけれど、ここでそれを見せなくても。入れば自分もああなるのかな、大切にしていることが違う会社なのかも。。)

 

 激務すぎてとても疲れて余裕のない面接官。たとえ時間がなくても面接には正面から向き合ってほしいところ。また、こちらが気の毒になるくらい忙しくやつれた姿を応募者に気づかれてはならない。

 

 

■あなたは、だれ?

 ある由緒ある学校法人を中途採用で受験したときのこと。最終面接までたどりついた僕は、それぞれ偉い方なのだろう、3人の初老とおぼしき最終面接官と、バスケのコート1面分はある広い部屋で向かい合った。

 

 手前に置かれた椅子にあいさつして座ったが、誰も言葉を発しない。

 

(あれ、もう始まってるのか?それとも何かマズいことした?)

 

 じっと資料に目を落としていた右の初老面接官が唐突に質問してきた。

 

初老面接官「じんじろうさんは、何ができるの?」

 

じんじろう(おっ、けっこう上からいきなり来るスタイルね・・)

 

 自己紹介やアイスブレイクもなしに、いきなり試すような展開。僕は身構えながらもこれまでの選考で評価されたのだろうエピソードを、なるべく平身低頭、話した。

 

初老面接官「他には?それだけしかできないの?ほらウチっていろいろあるからさ・・」

 

じんじろう(え、ダメなの?専門性を買ってくれたわけじゃないの・・?)

 

 それでも幅の広さを見せようと、いくつかのこれまでの取り組みを説明した。

 

初老面接官「いや、あなたの専門のことじゃなくて、専門じゃないこともできるのかって聞いてるんだよ」

 

じんじろう(・・できるわけなくない?「専門じゃない」って自分で言っちゃってるじゃん)

 

 かくして、3人いるうちの真ん中の初老、左の初老とも同様に、王族と家臣のようなやりとりが続いた。

 

 1タームが終わったころ、はじめの初老が言った。

 

「では、今日は終わり。もういいよ」

 

 こちらからの質問タイムなど当然設けない、というスタンスが確立されているようなスムーズさで、面接は1回表の攻撃後、ウラの攻守交代を待つことなく、あっさり打ち切られた。

 

 部屋を出て、僕の次に面接を待つ控室をちらりと見ると、新卒かと思える若くてか細い女性が、所在なげに、ぽつんと待っていた。

 

 彼女がそうかはわからないが、従順な、ひれ伏す人材を求めていたのかもしれない。ただ彼らに馬乗りになられるためにノコノコ来たような気分になり、何度か選考に通ってきたことを、とても残念に思った。

 

 名乗らない面接官は、それだけで落第だ。受験者からすれば、誰に決裁権があるのか、それぞれの面接官が何の領域を担当しているのかもわからない。尊大な、「手足を縛って『飛んでみろ』」というような面接をしていると、早晩人が寄り付かなくなってしまうだろう。

 

 就職するとき、面接は避けてとおることができない。でもそこからその会社の良しあしが透けて見えることもある。

 

 また面接で少しでも感じた違和感は、実際入社したあとも「ああ、(違和感の原因は)これだったのか!」と当たることも往々にしてあるものだ。

 

 だからこそ、面接ではこちらもたくさん観察して、自分が感じる率直な印象を大事にしたいものだ。